私が小学1年生の頃の話です。
家族4人で車に乗って、神奈川県の江ノ島の海に行きました。
海に着くと父が真っ先に海に入っていきました。
そして父が「おーい、たかみつ早くこい!」と声をかけてきました。
父の元に恐る恐る行くと父が私の前で平泳ぎをはじめました。しかし私は泳げないので、ぼーっと見ています。
父が「たかみつ、泳げないのは分かっているからちょっとやってみろ」と言いました。
私は海に顔をつけ体を浮かせてバタ足をしました。息苦しくなって立ち上がり両手で顔をこすると磯の匂いと海水のしょっぱい味。
「うわー不味い!」
すると父から「息苦しくなったら顔を上げて、空気を吸って」とアドバイス。言われてやってみますがうまくいきません。
「もう疲れたからやらない。泳ぐの嫌だー」と叫びました。見かねた父が私の横にきて私を抱えながら泳ぎました。
私は海面を進んでいくのにビックリ!
海水は少し冷たいけれど、父の肌の温もりは今でも覚えています。改めて父を尊敬し、私もいつか父みたいに泳げたらいいなと思いました。
きっと父は私に泳ぐ楽しさを教えたかったのだと思います。